2024年12月25日

今年最後の茶事

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クリスマスも終わりまして、これから世間は年末年始に向けて慌しくなってまいります。
平素は茶の湯の世界におります私も街に出て様子を見ておりますと、世の中は景気が良いのでは?と思わされます。
毎日、社会の第一線で仕事をされている方は気付いていらっしゃらないかも知れませんが、私のような者が客観的に世の中をみていたら確実にそう思えます。
まあ、景気が良かったか悪かったかは、後からわかるものかも知れませんが。

さて、去る12月15日、16日の2日間に亘りサロン三五夜さんで「夕ざりの茶事」を行いました。
私の茶事は有難い事に、参加をご希望される方が多数おられまして、毎回2日間に亘り行います。

茶事とは、このブログでもお話ししておりますが、炭点前、懐石料理、濃茶、薄茶をおよそ4時間ほどかけて行うセレモニーで、茶の湯の1番完成された形式です。
この茶事を行う為に、普段の稽古を積んでおります。

茶事には、その趣旨、開催される季節、時間帯により様々な形がありますが、今回致しました
夕ざりの茶事は、まさに名前の如く夕方から夜に行う茶事であります。

今回は、年末の奈良と春日大社おんまつり に因んで趣向で行いました。

午後3時に席入して頂き、まずお正客様に花を入れて頂きました。
これを「花所望」と申して、今回は春日大社に縁の深い花入を出しましたのでその様に致しました。2日共にベテランのお正客様に恵まれて、素晴らしいお花を入れて頂きました。

続いて、炭点前。寒いこの季節にしっかり茶室が温まるように、また、最後までしっかり釜の煮えが落ちないようにたっぷりの炭をつぐのに神経を使います。

そして、まだ明るさが残るうちに懐石料理を差し上げます。私どもの
茶事は、毎回、今は人気の若手料理人の牧田殉加さんに来て頂いておりまして、素晴らしい料理を明るいうちに目と舌で味わって頂きたいので、夜の夜咄の茶事では無く、あえて夕ざりに致しました。

懐石が終わって、お客様一同は、中立。

後半は、日も暮れかけまして
一変、夜咄の茶事になります。
蝋燭、手燭、燭台、タンケイ、小燈などの灯道具を出して、茶室の中は幽玄な世界になります。

お濃茶、薄茶と続いてお出しして、茶事の終了はだいたい午後7時くらいになりました。

茶室は世俗から離れた、言わば「市中の山居」
そこで、約4時間の幽玄の世界に身をおかれるのが茶事の醍醐味だと思います。

これにて、今年は8回に及びました茶事もお仕舞いとなりました。

後、通常のお稽古を数回、年末28日、29日にはおさらい会。とあと少し行事が残ります。

最後まで気を緩めず精進致します。

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2024年11月05日

柚子の黄ばむ頃

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柚の黄はむ いざ口切らん 真壺かな

これは、千家7代家元如心斎の詠んだ句であります。
写真は、表千家の茶家の一つ、堀内家の先代の兼中斎宗匠のお軸です。

いかなる猛暑、そして厳しい残時がありましても、立冬(本年では11月7日)には、柚子がちゃんと黄色くなって参ります。

私茶人は、柚子が黄色くなった頃に茶室の炉を開き、茶壺の口を切ってその年の新茶を頂きます。
5月頃(八十八夜)に詰まれたお茶が抹茶になるには壺の中で半年の熟成が必要なのです。

人からよく「炉にするのはいつからですか」などと質問を受けますが、まさに今の時期になります。昔は暦よりも自然の様子にしたがっていたようです。
そうは申しましても現在ではそんな優雅な事もなかなか言ってられませんから、概ね 炉を開くのは「立冬」閉じるのは「立夏」を目安にしております。

炉にしたばかりの初めの稽古は、基本的な本勝手運び点前。と言うのが普通でありますが、
今年は、11月30日に社中の有志が奈良国立博物館内の茶室、八窓庵をかりてお稽古茶会をしてくださるとの事で、教室では八窓庵と同じように台目のお稽古をしたいとの要望に答えて台目棚を出しました。

因みに台目とは普通の畳の4分の3の長さの畳の事を指します。殆どの台目の茶室は、点前畳と貴人畳の間に袖壁と台目柱が立っており、お点前も少し複雑になります。

要望に応じて色んなお稽古をして楽しんでおります。

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2024年11月01日

風炉も名残りとなりました。

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10月も終わりました。
やはり予測通り10月もあっと言う間に過ぎ去ってしまいました。
お茶室の様子も、10月いっぱいで風炉を仕舞い炉を開きます。
5月はじめの「立夏」からちょうど半年経ったと言う事になります。私達茶人は、この、「炉」「風炉」の循環を半年で繰り返しているおかげで茶席の景色に飽きる事なくいつも新鮮な気持ちでお茶を楽しめているかもしれません。

さて、10月を顧みますとやはり最大の出来て事は、27日(月)と28日(火)の2日間に亘ってサロン三五夜で開かれた水晶茶会のお手伝いをした事です。
この水晶茶会とは、私の30年来の茶友であります
名古屋の陶芸家で古美術評論家である古橋尚さんが、年に一度三五夜の月釜を担当される茶会であります。
今回の水晶茶会は、源氏物語と平安文化をテーマにされました。
侘び寂びの茶の湯に、雅な王朝文化をどのように融合されるか、私なりに楽しみにしておりましたが、やはり見事に素晴らしいお茶会に仕上げられました。
顧みますに、茶の湯において 一服の茶を点て差し上げるツールがあれば、いろんな趣向のもてなしも出来るものだと改めて思いました。
しかし、そのもてなしのツールも基本をキチンとわきまえた上でなければ上手く行きません。

今回も3日間にわたり古橋尚さんが奈良に滞在されまして、誠に美味しいお菓子を手土産に頂戴しましたので、最後にそのお菓子のご紹介をさせて頂きます。
名古屋の亀屋芳広製の、「いちえ」であります。

亀屋芳広は、熱田様の門前からスタートした菓子舗で、現在では名古屋市内に17のお店があるそうです。
お菓子の「いちえ」はまさに 一期一会の(一会)を意味すると思います。
愛知県産の小麦にこだわり、低温でゆっくり焼き上げたチョコレートサブレです。
きなこ、いちご、抹茶の3種類あります。
生菓子と干菓子の間のようなしっとり柔らかな食感で一口目はさほど甘味は感じないものの、頂いておりますと口の中でだんだん甘味が広がり、小麦の香ばしい香りが満ちてまいります。
チョコレートサブレらしいのですが、私に言わせれば、立派な和菓子でもあります。

この いちえ を茶会の楽しかった出来事を生徒さん達にしながらお稽古で頂きました。

古橋尚さんの30年ほど前の作品の、黄瀬戸織部釉のお皿に合わせてみました。

さあ、本日から11月。

新たな気分で炉のお茶を楽しみたいと思います。

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2024年10月15日

床の間におじぎをする

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早いもので、10月ももう半分過ぎました。
思いおこせば、9月もあっと言う間に終わり10月の過ぎゆくスピードはもっと早いように思います。

9月の末に2日間に亘り茶事をし、10月に入ってからもこの三連休の真ん中の日には、奈良の学園前にあります松伯美術館の茶室で開かれた茶会にお招きを受けて行ってまいりました。

茶事や茶会で客が席入して1番に床の前に座ります。
そしてまず、床に向かい深く一礼致します。
その一礼とは、扇子を前に置き最も敬意のこもったお礼であります。
昔の軍隊で言いますところの「最敬礼」にあたいします。
ところで、何故 床の間に深いお礼をするのですか?と生徒さんから質問をされた事があります。
その意味にはいくつかの意味があるのですが、

一つに、茶席(その日の茶会)における亭主のもてなしの心を全てにおいて総括して代表するのが床の間の飾りで、今日の一会に心をくだいて下さった亭主に対する敬意の象徴であろうと思われるからだと私は解釈しております。

もう一つに、やはり、床の間の中心である掛軸に対する敬意もあると思います。
茶会の掛け物には、口に出さねども暗黙の「掟」のような物があります。
それは、家元はじめ、宗匠方や和尚様、お公家様、宮様、はては天皇のお書になったものを掛けるのてあって
決して、自分の書いたものや書家の物も掛けません。
自分で書いた掛け物に対して、お客様を最敬礼させるなど、あり得ない話しであります。
そう言う、「常識」を学ぶのが茶道でもあります。

少し話しはそれますが、当流では宮様方や天皇の書かれ軸は、お茶事の最後まで床に掛けっぱなしにはせずに、一礼、拝見の後、正客から「どうぞ御巻き上げを」と申し上げ、亭主が軸を巻き上げる作法もあります。
それを 軸飾り と言いますが
また、機会をみて その「軸飾り」のお話しもできれば。などとも思います。

昨今、SNSの普及に伴い、茶道と言う共通趣味を持つ者同志の繋がりも出てまいりまして、社中はおろか流派の垣根を超えて色んな茶人のコミュニティーが出来立ております。
仲良く人の輪が広がるのは素敵な事ですが、
お茶会もだんだんカジュアルになり過ぎて、本来の茶道の素晴らしい精神や、守り継がなけれいけない常識が無くなってしまった茶会も出てきております。
ただ、SNSだけで繋がった烏合の集だけに、間違いを指導する人もいないまま、違った方向のお茶になって行っている恐ろしい現象であります。

フィギュアスケートみたいに、基本の稽古を積んでいない者がいきなり、3回転ジャンプをしたら倒れて骨折してしまいます。

しかし、お茶は骨折しません。

それが良いのやら、悪いのやら。^_^!

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2024年10月08日

多様性があるから茶道は飽きない

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10月になりました。
今年はいつまでも猛暑が続き、私達の子供の頃の9月の気候が今の10月で、8月9月は真夏ですね。

私事で恐縮ですが、本日10月8日で57歳になりました。

6歳の6月6日で初めて正座してお抹茶を頂いて以来今年の6月をもちまして、茶の湯に触れて丁度50年経つと言う事で、本年の3月にサロン三五夜さんの月釜を担当させて頂きました。
その折は、私の茶歴50年 と言うテーマでさせて頂きました。

時々色んな方から、「茶道をそんなに長年やっておられて飽きた事とか無いのですか?」と言う質問を受けます。

答えは、「一度も飽きた事ありません」です。

茶道って、習い初の頃はとにかく色々と作法とか名称や知識なと覚える事がいっぱいあります。
それらを一つ一つ覚えて行く事で楽しみや達成感があります。
ただ、それだけですといつかは飽きます。

しかし本当の茶道の楽しみは、それから先なんです。

茶道は、他人と勝ち負けを争うゲームではありませんが、その場を楽しむ為には様々なルールがあります。
亭主も客も、色んなルールを多く身に付ければ付け程、茶道(茶会)と言う勝ち負けの無きゲームはより深くより楽しい世界へと広がります。

また、ある一定の基本形を超えてきますと、様々は趣向のお茶会が出来てきます。
まさに、多様性に富んだ楽しみなんです。

こんな道具で、こんな場所でお茶をもてなすのか?
とか、こんな時にやるのか?
など、ベテランになればなるほど 個性が出て参ります。

また、客としても、茶会に行かず1人で楽しむにしても、道具に興味のある人、茶室などの建築に興味のある人、庭、花、香、料理、歴史、お菓子、着物 etc 本当に多様な楽しみ方があります。

うちにお稽古に来られている生徒さん達も、初は一生懸命 作法などを覚えておられますが、ある程度力が付くと、それぞれ自分の好きな茶道をされています。
私は、先生ですから その方の茶道に対する好きな部分が何となくわかって来ますので、その方の好きな部分を伸ばしてあげようと頑張っております。

私自身も、お道具に強い興味を持つ時もあれば、灰つくりに興味がある時もあり、また、茶道の中の色々な分野に心がひかれる時が繰り返され、50年やっていても全く飽きる事がありません。

かつて、而妙斎宗匠(先代家元)が「とにかくお茶は大きなものです」とおっしゃいましたが、その言葉は簡単なようでとで深い言葉です。

茶道は、知らない人から見れば作法に雁字搦めでただ堅苦しいもの。
と思われるかもしれませんが、実は、少し堅苦しい作法を覚えればその後は、これ程多様性に富んだ楽しみ方がある趣味は無い。と私は考えます。

私が茶道を飽きない理由を、誕生日に際してつらつら書いてみました。

皆さんも、自分のお茶を見つけて、さらに茶の湯の深い楽しみに至って頂けたら嬉しいです。

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