今年も昨年と同じく例年よりも早く桜の開花が始まっております。
桜の開花に喜んでおりましたら、本日は生憎の春雨。
まあ、この雨は「花散らし」にまでは至らぬと思いますので、雨が上がりましたら来週にでもお花見に出かけたいと思っております。
今日は、朝からお稽古の日で、朝のクラスは10時〜13時くらいまで。
午後のクラスは15時〜19時までやっておりました。
朝のクラスは10時から開始といいましても、茶席の設えや炭火の熾し方、炉に釜をかける。など茶席の準備の仕方を学びたい方は、開始の1時間前から来ても良い事になっておりますので、早い方は9時に来られる方もいらっしゃいます。
よって、それまでに、露地とトイレの掃除を済ませておきますので、私はだいたいどのクラスの時も、朝は開始時間の2〜3時間前には教室でなんやかんややっております。
今朝も8時前には教室におり、準備しながらスマホを見てましたら、桜の便りをニュースで知り、なんと無く旅箪笥の稽古がしたくなりました。
天気予報では、今日は時間が経つにつれ雨足が強くなるとの事で、まだ雨が本降りになる前に急いで蔵に入り、旅箪笥を出してきました。
私の家の蔵は、母屋の北側に離れて建っておりますが、そこから荷物を出して茶室に運ぶには屋根の無い部分があり、雨だと濡れてしまいます。
で、桜の便りを知り、何故旅箪笥を使いたい気分になったか?と申しますと、
旅箪笥は、もともと戦国時代に豊臣秀吉の関東征伐(北条攻め)に同行した千利休が、兵士の慰安の為に、野戦先で茶を点てる為に用いた道具の一つであります。
その様な由来から、旅箪笥は野趣に富んだ野点の風情。といった印象の持たれる道具であり、実際、観桜茶会などには桜の木の下の野点に使われる事もあります。
よって私も、桜と言えば旅箪笥。といった定型譜な頭から離れません。
生徒さんが来る前に旅箪笥を。と、前回まで使っていた丸卓を急ぎ仕舞い、ついでに、桜の柄の茶碗や、桜蒔絵の茶杓、墨田川の香合なども出しました。
暫くこの取り合わせでお稽古をしてゆく所存でございます。
因みに写真は、昨年の4月旅箪笥の様子で裏甲釜がかかっておりますが、実際は、まだ釣釜がかかっております。^_^!
堂後茶道教室http://www.dogo-sado.jpn.org
2022年03月20日
深山幽谷春雨の茶事
和歌山からはるばる奈良の堂後茶道教室に通って下さいますNさんは、大変お稽古熱心でかつご自身のお茶の方向性もキチンと持たれております。
そんなNさんは、ご自宅から車で1時間もかかる深山幽谷の地に別宅を持たれております。
その別宅は、築は100年以上はあろうか。と思われる古民家で、バス、トイレなどは建築業者に依頼して新築同様に美しくリノベーションされていますが、それ以外の家の殆どの部分はご自身が少しずつDY Iで手直しして昔の風情をそのままに残しておられます。
この度、炉を切り茶室として使っている九畳の座敷に釣り釜のひる釘を打つ工事が完了した記念に、私を招待して下さいました。
私はその家の事をNさんから色々と報告を受けており、いつか招待されたい。と願っていたので、本当に嬉しく思いお邪魔する事を即答致しました。
しかし、即答したものの、自動車の運転もさほど得意では無いし、行った事の無い和歌山の山深き所まで一人で行くのも心細いと感じでおりましたら、同じ和歌山からお稽古に来て下さっているTさんがスケジュールを合わせて同行して下さる事となりました。
その古民家の近くに偶然Tさんのご親戚のお宅があり、Tさんも周辺の地理に詳しいとの事で心強い旅路となりました。
奈良から電車を乗り継ぎ、南海泉佐野駅でTさんの車に乗せてもらい、そこから山また山を越える事1時間30分ほどかかって、古民家に到着しました。
途中、「桃源郷」と言う名の場所もあったくらいまさにその場所は深山幽谷の地。
深い山に囲まれ、眼下には美しい渓流があり春雨に煙る景色は墨絵のようでありました。
私達は、到着してまず玄関から土間を通り一旦庭へ出て、木戸をいくつか潜り抜け待合に入りました。
待合で白湯を頂いて本席へ入りました。
大の雲龍釜が釣り釜にされ、炉にはすでに沢山の炭が焚かれ九畳の広間はほのかに温かく、心地よい松風を立てております。
炭点前は省略され直ぐに懐石です。
懐石は、かまどで炊いたご飯のおにぎりと、畑で採れた野菜の汁、向付は、庭で摘んだつくしの生酢、それに香の物でした。
まさに、一汁一菜。
私も今まで数えきれないくらいの茶事に呼ばれましたが、一汁一菜にしてこんな心のこもった懐石は初めてでした^_^!
懐石が終わると中立。
中立は、なんと、眼下の渓流の河原。
本物の自然相手の茶事です。
中立の間、私は、Tさんと共に 河原の堤で蕗のとうを摘み、土産にしました。
因みに、その河原の堤も古民家の広い敷地の一部です。
茶席が後座の設えに変わると、亭主のNさんご自身が古民家から出て来て、河原の堤に向って大声で「後座の用意ができましたよ〜」と叫んで下さいました。
なんとワイルドな迎えつけ!
そして、後座ではお濃茶、続き薄。
陶芸もされるNさんの作品なども道具として多数出て来て、楽しい道具組みでした。
近くに民家も無く、ほぼ「ぽつんと一軒家」状態の古民家で大自然あいての3人だけの特別な茶事。身も心も洗われ、寿命が伸びたようや気になりました。
帰宅し、中立で摘んだ蕗のとうを早速湯がき、味噌和えにして、一生のうちにめそうそうに無い素晴らしい一会を回想しながら一献頂きました。
Nさんは、熱心にお稽古に励まれ、基本をキチンと会得されているからこそこの様は素晴らしい茶事がお出来になると思います。
今後ますます素晴らしいお茶をされるであろうNさんが楽しみです。
堂後茶道教室http://www.dogo-sado.jpn.org
そんなNさんは、ご自宅から車で1時間もかかる深山幽谷の地に別宅を持たれております。
その別宅は、築は100年以上はあろうか。と思われる古民家で、バス、トイレなどは建築業者に依頼して新築同様に美しくリノベーションされていますが、それ以外の家の殆どの部分はご自身が少しずつDY Iで手直しして昔の風情をそのままに残しておられます。
この度、炉を切り茶室として使っている九畳の座敷に釣り釜のひる釘を打つ工事が完了した記念に、私を招待して下さいました。
私はその家の事をNさんから色々と報告を受けており、いつか招待されたい。と願っていたので、本当に嬉しく思いお邪魔する事を即答致しました。
しかし、即答したものの、自動車の運転もさほど得意では無いし、行った事の無い和歌山の山深き所まで一人で行くのも心細いと感じでおりましたら、同じ和歌山からお稽古に来て下さっているTさんがスケジュールを合わせて同行して下さる事となりました。
その古民家の近くに偶然Tさんのご親戚のお宅があり、Tさんも周辺の地理に詳しいとの事で心強い旅路となりました。
奈良から電車を乗り継ぎ、南海泉佐野駅でTさんの車に乗せてもらい、そこから山また山を越える事1時間30分ほどかかって、古民家に到着しました。
途中、「桃源郷」と言う名の場所もあったくらいまさにその場所は深山幽谷の地。
深い山に囲まれ、眼下には美しい渓流があり春雨に煙る景色は墨絵のようでありました。
私達は、到着してまず玄関から土間を通り一旦庭へ出て、木戸をいくつか潜り抜け待合に入りました。
待合で白湯を頂いて本席へ入りました。
大の雲龍釜が釣り釜にされ、炉にはすでに沢山の炭が焚かれ九畳の広間はほのかに温かく、心地よい松風を立てております。
炭点前は省略され直ぐに懐石です。
懐石は、かまどで炊いたご飯のおにぎりと、畑で採れた野菜の汁、向付は、庭で摘んだつくしの生酢、それに香の物でした。
まさに、一汁一菜。
私も今まで数えきれないくらいの茶事に呼ばれましたが、一汁一菜にしてこんな心のこもった懐石は初めてでした^_^!
懐石が終わると中立。
中立は、なんと、眼下の渓流の河原。
本物の自然相手の茶事です。
中立の間、私は、Tさんと共に 河原の堤で蕗のとうを摘み、土産にしました。
因みに、その河原の堤も古民家の広い敷地の一部です。
茶席が後座の設えに変わると、亭主のNさんご自身が古民家から出て来て、河原の堤に向って大声で「後座の用意ができましたよ〜」と叫んで下さいました。
なんとワイルドな迎えつけ!
そして、後座ではお濃茶、続き薄。
陶芸もされるNさんの作品なども道具として多数出て来て、楽しい道具組みでした。
近くに民家も無く、ほぼ「ぽつんと一軒家」状態の古民家で大自然あいての3人だけの特別な茶事。身も心も洗われ、寿命が伸びたようや気になりました。
帰宅し、中立で摘んだ蕗のとうを早速湯がき、味噌和えにして、一生のうちにめそうそうに無い素晴らしい一会を回想しながら一献頂きました。
Nさんは、熱心にお稽古に励まれ、基本をキチンと会得されているからこそこの様は素晴らしい茶事がお出来になると思います。
今後ますます素晴らしいお茶をされるであろうNさんが楽しみです。
堂後茶道教室http://www.dogo-sado.jpn.org
posted by 堂後茶道教室 at 00:56| 日記
2022年03月09日
苔の手入れが楽しい季節になりました。
当ブログでも度々ご紹介しております、我が家の自慢の苔で御座いますが、これからの季節がベストシーズンであります。
苔にも色々な種類がありますが、我が家の庭の場合そのほとんどが這い苔(ハイゴケ)であります。茶庭にある苔の中では最もポピュラーと申しますか、簡単に育て易い苔の一つであります。
家元はじめ、茶家の庭(露地)を今まで何件か拝見致しましたが、やはり、この這い苔が最も多いようです。
這い苔は、日当たりの良い所を好みますが、苔の事ゆえ、少々日当たりが悪くとも元気に育ってくれます。
日本全国北から南に分布し、地球規模で見ても、北はシベリアから南はハワイまでその生息は確認されております。
以前にもお話ししましたが、我が家の苔は全て私の手植えに始まります。
春日奥山原生林の近くにあります私どもの自家用果樹園に自生する苔を採取し、自宅の庭に植えます。
暫くは、美しい緑色をしておりますが、1年くらい経ちますと、移植した苔の9割くらいは枯れてしまい、残りの1割くらいがキチンと活着してくれます。
その1割の苔が庭で自力で広がってくれます。
それがやっと、本当のその庭の苔となり、徐々に更に広がってくれます。
家元はじめ、古い茶家の苔もその様に長い年月をかけて、庭一面に緑のじゅうたんを広げた事だと思います。
緑のじゅうたんに囲まれた飛び石を歩いておりますと、心が洗われるような気持ちになります。
我が家の庭も、最近は、山の果樹園からの移植はせず、いまある苔が増え広がるのを手入れをしながら見守っております。
手入れとは、苔の間から生えてるく草などがあれば、いかに小さい物であっても見つけ次第抜き取ります。時には、ピンセットで抜く事もらあります。
また、天気のよい日が続けば渇かないように水をたっぷりあげ、週に一度は、活力剤を薄く散布したり致します。
苔は非常にデリケートな植物だけに、肥料などは自分で吸収できないそうなので、肥料は避けた方が良いと思います。
あくまでも、薄い活性剤までに留めておきます。
あとは、日光と水を与え、余分な雑草に栄養を取られないようにするしかありません。
いつも苔の手入れをしながら考えるのですが、茶人にとりましまて苔を育てる。と言う事は、あまり目につかない露地の足元にさえも気を配る茶人のもてなしの精神であるように思います。
今年もこれからの季節、我が家の苔がさらに増えてくれるのを楽しみに手入れをして行きたいと思います。
堂後茶道教室http://www.dogo-sado.jpn.org
苔にも色々な種類がありますが、我が家の庭の場合そのほとんどが這い苔(ハイゴケ)であります。茶庭にある苔の中では最もポピュラーと申しますか、簡単に育て易い苔の一つであります。
家元はじめ、茶家の庭(露地)を今まで何件か拝見致しましたが、やはり、この這い苔が最も多いようです。
這い苔は、日当たりの良い所を好みますが、苔の事ゆえ、少々日当たりが悪くとも元気に育ってくれます。
日本全国北から南に分布し、地球規模で見ても、北はシベリアから南はハワイまでその生息は確認されております。
以前にもお話ししましたが、我が家の苔は全て私の手植えに始まります。
春日奥山原生林の近くにあります私どもの自家用果樹園に自生する苔を採取し、自宅の庭に植えます。
暫くは、美しい緑色をしておりますが、1年くらい経ちますと、移植した苔の9割くらいは枯れてしまい、残りの1割くらいがキチンと活着してくれます。
その1割の苔が庭で自力で広がってくれます。
それがやっと、本当のその庭の苔となり、徐々に更に広がってくれます。
家元はじめ、古い茶家の苔もその様に長い年月をかけて、庭一面に緑のじゅうたんを広げた事だと思います。
緑のじゅうたんに囲まれた飛び石を歩いておりますと、心が洗われるような気持ちになります。
我が家の庭も、最近は、山の果樹園からの移植はせず、いまある苔が増え広がるのを手入れをしながら見守っております。
手入れとは、苔の間から生えてるく草などがあれば、いかに小さい物であっても見つけ次第抜き取ります。時には、ピンセットで抜く事もらあります。
また、天気のよい日が続けば渇かないように水をたっぷりあげ、週に一度は、活力剤を薄く散布したり致します。
苔は非常にデリケートな植物だけに、肥料などは自分で吸収できないそうなので、肥料は避けた方が良いと思います。
あくまでも、薄い活性剤までに留めておきます。
あとは、日光と水を与え、余分な雑草に栄養を取られないようにするしかありません。
いつも苔の手入れをしながら考えるのですが、茶人にとりましまて苔を育てる。と言う事は、あまり目につかない露地の足元にさえも気を配る茶人のもてなしの精神であるように思います。
今年もこれからの季節、我が家の苔がさらに増えてくれるのを楽しみに手入れをして行きたいと思います。
堂後茶道教室http://www.dogo-sado.jpn.org
posted by 堂後茶道教室 at 23:52| 日記