2022年03月20日

深山幽谷春雨の茶事

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和歌山からはるばる奈良の堂後茶道教室に通って下さいますNさんは、大変お稽古熱心でかつご自身のお茶の方向性もキチンと持たれております。

そんなNさんは、ご自宅から車で1時間もかかる深山幽谷の地に別宅を持たれております。
その別宅は、築は100年以上はあろうか。と思われる古民家で、バス、トイレなどは建築業者に依頼して新築同様に美しくリノベーションされていますが、それ以外の家の殆どの部分はご自身が少しずつDY Iで手直しして昔の風情をそのままに残しておられます。

この度、炉を切り茶室として使っている九畳の座敷に釣り釜のひる釘を打つ工事が完了した記念に、私を招待して下さいました。

私はその家の事をNさんから色々と報告を受けており、いつか招待されたい。と願っていたので、本当に嬉しく思いお邪魔する事を即答致しました。

しかし、即答したものの、自動車の運転もさほど得意では無いし、行った事の無い和歌山の山深き所まで一人で行くのも心細いと感じでおりましたら、同じ和歌山からお稽古に来て下さっているTさんがスケジュールを合わせて同行して下さる事となりました。

その古民家の近くに偶然Tさんのご親戚のお宅があり、Tさんも周辺の地理に詳しいとの事で心強い旅路となりました。

奈良から電車を乗り継ぎ、南海泉佐野駅でTさんの車に乗せてもらい、そこから山また山を越える事1時間30分ほどかかって、古民家に到着しました。

途中、「桃源郷」と言う名の場所もあったくらいまさにその場所は深山幽谷の地。

深い山に囲まれ、眼下には美しい渓流があり春雨に煙る景色は墨絵のようでありました。

私達は、到着してまず玄関から土間を通り一旦庭へ出て、木戸をいくつか潜り抜け待合に入りました。
待合で白湯を頂いて本席へ入りました。
大の雲龍釜が釣り釜にされ、炉にはすでに沢山の炭が焚かれ九畳の広間はほのかに温かく、心地よい松風を立てております。
炭点前は省略され直ぐに懐石です。

懐石は、かまどで炊いたご飯のおにぎりと、畑で採れた野菜の汁、向付は、庭で摘んだつくしの生酢、それに香の物でした。
まさに、一汁一菜。
私も今まで数えきれないくらいの茶事に呼ばれましたが、一汁一菜にしてこんな心のこもった懐石は初めてでした^_^!

懐石が終わると中立。
中立は、なんと、眼下の渓流の河原。
本物の自然相手の茶事です。
中立の間、私は、Tさんと共に 河原の堤で蕗のとうを摘み、土産にしました。
因みに、その河原の堤も古民家の広い敷地の一部です。

茶席が後座の設えに変わると、亭主のNさんご自身が古民家から出て来て、河原の堤に向って大声で「後座の用意ができましたよ〜」と叫んで下さいました。

なんとワイルドな迎えつけ!

そして、後座ではお濃茶、続き薄。

陶芸もされるNさんの作品なども道具として多数出て来て、楽しい道具組みでした。

近くに民家も無く、ほぼ「ぽつんと一軒家」状態の古民家で大自然あいての3人だけの特別な茶事。身も心も洗われ、寿命が伸びたようや気になりました。

帰宅し、中立で摘んだ蕗のとうを早速湯がき、味噌和えにして、一生のうちにめそうそうに無い素晴らしい一会を回想しながら一献頂きました。

Nさんは、熱心にお稽古に励まれ、基本をキチンと会得されているからこそこの様は素晴らしい茶事がお出来になると思います。

今後ますます素晴らしいお茶をされるであろうNさんが楽しみです。

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posted by 堂後茶道教室 at 00:56| 日記
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