我が家には苗木を入れたら16本の椿がありますが、それらの椿の中で最も最後に咲くアンカーの椿である「絞り乙女椿」が早くも一輪咲いてきるのを見つけました。
陽気に誘われた訳じゃないのですが、お昼から庭の掃除をしておりますと、例年よりも苔の生育が良く、おそらく一ヵ月くらい早く成長しているかのようです。
我が家の苔は、少しずつ山から採取して庭に貼り付けてております。
以前、このブログにてもお話ししましたが、その山は、丁度、春日山の裏手くらいに当たりまして、私の家からはバイクで20分間ほどのところです。
自家用の果樹園でもしようと、父が40年程昔に地元の農家の方から譲って頂いた土地なのですが、最近は果樹は殆ど放ったらかしで、苔の採取の為だけの土地になってしまいました^_^!
苔と言いましても、沢山の種類があります。
どの種類の苔が私の庭の環境に合うかどうかは実際に貼り付けてみないとわかりません。
山に自生している何種類かの苔を自宅に持って帰りましたが、結局、定着してくれたのは、最もオーソドックスとされる「這い苔」(ハイゴケ)だけでした。
しかしこのハイゴケも、山に付いているバクテリアと、私の庭の土のバクテリアが合わないので、1年程度で9割は死滅してしまいます。
しかし、ここからが大切で、生き残った1割が頑張って庭で繁殖してくれます。
この苔こそが本物の庭の苔となります。
本物の庭の苔となれば、夏の日照りで一旦死滅したかのように見えても、秋の終わりには少しずつ新しい緑がでて着て、冬の寒さにも負けず春にはまた沢山繁殖を繰り返してくれます。
何故か、茶人は苔を愛します。
多分、苔の美しさは、茶の湯の「侘び寂び」の美意識の一つなのかも知れません。
茶の湯において、門から茶席までに通る庭を「露地」と言います。
露地の「露」とは、「あきらか」とも読みます。
すなわち、露地を一歩一歩進むにつれて、心を清め、心を「あきらか」にするところと心得ます。
露地の歩みは、「亘り六部に景色四部」と利休さんが言われたそうです。
景色四部の中に、却下の苔に目をやることを
本日の春うららの陽気が教えてくれたかと思います。
お稽古に来て下さる生徒さんも却下を看て下さったら少しでも心が洗われますよう、手入れを続けたいと思います。
堂後茶道教室http://www.dogo-sado.jpn.org
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